
テルモヒューマンクリエイトのオウンドメディア運営事務局です。今回は愛鷹工場(静岡県富士宮市)の生産1課に勤める尾崎俊之さんをインタビューしました。
愛知県出身ですが、仕事で訪れた際に富士・富士宮の環境に魅せられ定住を決めたとのことです。「 富士山は大好きだが写真に収めるよりも目に焼き付けるタイプ 」と笑顔で語る尾崎さんに、仕事のこと、プライベートのことについてお話をうかがってきました。
どんな仕事であれ、医療に関わりたい。自分が携わるワイヤー1本1本が命につながることを忘れないように日々の仕事に励んでいます。
―― 前職は自動車の製造に関する仕事だったと聞いていますが
以前は愛知で住宅の販売に携わっていました。富士・富士宮には異動で来たのですが、この環境に魅せられ定住したいと思い、異動のない地元企業に転職しました。小規模の工場で社員数が少ない分、休みは多くなかったのですが、自分が手掛けた自動車を街中で見かけると嬉しくて、やりがいを感じていました。
―― 富士・富士宮が好きなのですね
気候とか立地とか、暮らしやすさも含めて全部好きです。妻の仕事もこのエリアでの勤務なので、家族としても富士・富士宮を離れるという選択肢はありませんでした。それであれば、富士・富士宮で自分のキャリアを積み上げて行くしかない。そう考えるようになりました。

―― ご自身のキャリア積み上げていく中で、テルモヒューマンクリエイト(THC)を選んだ理由とは
インターネットで求人サイトを見ていた時に、偶然THCの仕事を見つけました。しかも翌日に沼津(富士・富士宮から車で1時間程度)で開催される合同説明会で話を聞けると。THCを目掛けて行って、話を聞いて、そのまま応募して選考してもらいました。
―― なぜTHCの仕事に惹かれたのですか
転職は最後にしたかったという想いもありましたが、とにかく医療に関わる仕事に就きたかった、それに尽きます。
―― 自動車関係の仕事に従事していたのに、なぜ医療関係の仕事に興味を持ったのですか
2人目の子どもが流産、3人目の子どもが無脳症で死産になったことがきっかけです。こういう経験をする中で、命の尊さや、色々なことを学びました。医療の現場に入りたく看護師を目指し受験しましたが、ただでさえ休みの少ない職場でしたので、勉強との両立は難しく、補欠合格までは行けたものの、2年ほど頑張りましたが駄目で――。
別の角度で医療に関わることはできないか、そんなことを模索している時にTHCの求人情報に出会いました。
―― 目指した医療関係の仕事とはいえ、未経験で踏み出すのには覚悟が必要だったのでは
自分の中では流産とか障害とかで生まれてくることができなかった子への想いというのは今でもすごく強くて、もちろん、妻もそうです。お互い普通に生まれてくると思っていたので。ショックを受けていました。なので、前を向くことだけに集中しました。
どんな仕事であれ、医療に関わりたい。そして、どんな状況であろうとも、家族皆で頑張ろう。あの子たちが常に私達の背中を押してくれているのを感じています。覚悟を決めた以上、やるしかないと思っていました。

―― 今の生活はどうですか
愛鷹工場では3交代制の勤務体系になりました。これまで体験したことのない勤務体系なので不安はありましたし、慣れるまで少し時間がかかりました。でも、いざ慣れると色々とメリットがあることがわかりました。意外なほど子どもとの時間がとれるんですよね。あと、家事も。
例えば、夜勤の時は保育園に送るのは自分でとか、この週は妻の方が保育園は送って、自分は迎えに行くとか、役割をうまく当てはめられるようになりました。家の掃除・洗濯とか、買い物など、そういう部分に参加出来る時間が増えました。
―― 仕事に対して影響はありましたか
ありました、良い意味で。これまで家事をあまりやってきませんでした。自分の時間が家事にとられることはストレスだったのです。ただ、時間ができたので飛び込んで続けてみたら学べることが多くて驚きました。その影響なのか、職場でも自分がわからないと思ったことでも他人事ではなく自分事として思い切って飛び込んで積極的に関わろうと思うようになりました。
―― 話は変わりますが、コロナ禍において職場の対応はどうですか
コロナ禍対策として、マスクが買えなくて大変だった時にマスクを1人2枚ずつ配布してくれたり、夏場になったら夏用の薄いマスクを用意してくれたりとか。交代勤務になるので、接触を減らしていこうと、テレビ電話で引継ぎをできるように体制を整えてくれましたし。まだありますね、食事の時間帯も色々と工夫して感染リスクを減らしていこうとか、色々な取り組みがあって、良い職場に恵まれたと思っています。
―― 尾崎さんにとって、今の仕事へのやりがいとは
私はカテーテルという、血管などの細い管を通すための材料を適切な位置まで誘導するガイドワイヤーを作っています。海外で使用される例も多いのですが、報告を聞く度にひとつの命が助かったことに喜びを感じています。直接ではありませんが、私がひとつの命に関われたことに対して嬉しく思います。
―― 最後に、尾崎さんにとっての「こだわり」とは
自分が作ったワイヤーが国内や海外の手術現場で使われていることを想像すると、手は抜けないですし、そこがまた、私のこだわりと言うか、想いというか――。ただのワイヤーには見えないんです。医療に携わりたいと願い、運よく入社させてもらったので、このワイヤー1本1本が命につながることを忘れないように日々の仕事に励んでいます。

【 編集後記 】
「 なぜ医療に関わる仕事を目指したのか 」。その理由を聞いた時には、とてもセンシティブなことだったので、記事に書くべきかどうか、正直悩みました。しかし、前向きに話してくださる尾崎さんの目を見て、記録に残すべきだと感じ、書くことにしました。「 ワイヤーがただのワイヤーに見えない 」。
命の大切さを人一倍知っている尾崎さんのご家族5人。これからのご活躍を陰ながら応援しています。
テルモヒューマンクリエイト株式会社 愛鷹工場生産1課
アドバンクリーンルームにてカテーテルといわれる医療機器の製造検査を担当。真面目で正確な仕事が社内外にて高い評価を得ている。