
テルモヒューマンクリエイトのオウンドメディア運営事務局です。今回は、甲府営業所(山梨県中巨摩郡昭和町)の中田めぐみさんにインタビューしました。
障がい者の就労支援施設での就業経験もある中田さんは、テルモヒューマンクリエイト(以下、THC)甲府営業所で雇用している障がい者やテルモOBで構成されるスマッピーチームに所属しています。障がい者の方が明るく前向きに働ける環境整備に努め、日々スタッフと誠心誠意向き合う中田さんの想いを伺いました。
新たな個人の魅力発見!創作活動を通じて生まれた絆とモチベーション向上。
―― スマッピーチームの普段の活動内容を教えてください
THC甲府営業所で雇用している障がい者スタッフ、テルモOBなど多様な人財が集まるスマッピーチームでは、農作業を中心としたサステナビリティ活動に取り組んでいます。
耕作放棄地を活用して土地から耕した畑(中央市2か所)で、じゃがいもや玉ねぎなどの野菜、花やハーブ類を育て、収穫物はテルモの社員食堂の委託業者へ納品したり、社員向けの販売会を通じて、皆さんに届けています。2022年の夏には、「道の駅とよとみ」に農福連携コーナーを設けていただき、販路も広がりをみせています。
また、草木染めで染色した和紙を使った貼り絵や松ぼっくりリースなどの創作活動も行っています。
―― 今回、スマッピーチームの創作した貼り絵の作品が、障がい者の理解と社会参加を促進することを目的とした「いえなか美術館(山梨県主催)」で展示されるそうですが、応募したきっかけを教えてください
仕事の中心である農作業で、天候の悪い日や農関期に出来ることを模索する中、畑で捨った石にペイントしたり、収穫後の野菜の枝を利用してクリスマスツリーを作ったりと、身近な素材を活用した作品づくりを行ってきました。
素敵な作品が出来ても、なかなか人に見てもらう機会がなく残念に思っていたところ、いえなか美術館の活動を知り、作品を意識したものづくりと、私たちの取り組みを知っていただくよい機会になればと思い、応募させていただきました。


―― 作品づくりで工夫した点や、苦労した点はありますか
大筋の作品イメージは伝えますが、細かな指示はしないようにしています。一人ひとりがイメージを膨らませることで、思いもよらないアイデアや技法が生まれるからです。今回応募した貼り絵作品の貼り方も、絵を描くことが好きなスタッフの発想から生まれました。
すべての工程を一人で行うことは難しい場合も、ペアを組んで作業することで、スタッフ同士で苦手な部分を補い合い、完成させることができました。それが化学反応を起こし、味となって作品に表れていると思います。
―― 作品づくりを通して、スマッピーチームのスタッフに変化はありましたか
新しい才能発見ですね!農作業だけではわからなかった個々の感性や得手不得手なことなど、新しい彼らの魅力に気づくことが出来たことは私たちだけでなく、家族にとっても大きな変化だったようです。
「すごーい!」「いいじゃん!」と褒め合う機会も増え、農作業の主力スタッフは、より農作業への情熱を燃やしています。得意分野をそれぞれ活かしながら、お互いをカバーできるチームに進化していると感じます。


―― スマッピーチームで活動することの意味や、やりがいはどんなところにありますか
障害を持って生活する中で、周囲に支えられる立場だと感じることが多かったかもしれません。しかし、THCの一員としてサステナビリティ活動に携わることで、“自分も地域や社会を支える一人”になることができます。経済的にも安定し、家族や周囲の力になることや自分のやりたいことを実現できることで自信にも繋がります。一人ひとりが自分の夢を抱くことができ、その頑張る姿に寄り添えることが私にとってもやりがいになっています。
また、ご家族からTHCで働くことができて良かったと言っていただけることも嬉しく、励みになっています。
―― 今後挑戦したいことや、目標はありますか
私たちの活動を、『晴耕雨読』という言葉で表現いただいたことがあります。晴耕雨読には、自然に合わせて生きる生き方、人間の理想とされる生き方という意味も込められているそうです。そんな私たちの活動には、持続可能な生活のヒントがあるのではないかと考えていて、例えば、疲れを感じている社員と一緒に農作業や創作体験をして気持ちをリフレッシュできる機会を設けたり、子育て世代の社員に私たちが育てた新鮮野菜を届けてハッピーが広がらないかなど、スマッピーチーム活躍の場はまだまだあるのでないかと感じています。 また、障がい者雇用の義務のある会社において、雇用率を達成している企業は半数以下と、障がい者雇用の壁は高いのが現状です。私たち含め多くの企業が試行錯誤している最中ですが、失敗を恐れず、スマッピーチームのスタッフと楽しく“テルモヒューマンクリエイトスタイル”をこれからも創造していきたいと思います。

【 編集後記 】
常に笑顔を絶やさず、明るく取材に応じてくれた中田さん。「一人ひとりの個性を尊重して、みんなにその良さを伝えていきたい」と話し、心から今の仕事を楽しみ、やりがいを持って働いているのが伝わってきました。そうして日々障がい者スタッフに寄り添い、彼らの可能性を信じて支える姿は、ダイバーシティ・マネジメントのモデルケースと成りうるのではないかと感じました。
甲府営業所所員。障がい者の法定雇用率を遵守していくにあたり、2020年よりスタートした農福連携事業であるスマッピーチームを担当。障害者生活相談員・企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)。就労支援施設での就業経験や海外への留学経験を活かしながら、障がい者支援に尽力している。